【吉賀の至宝】 スカイツリーの原風景がここに。 ~40年続く「コウヤマキ自生林観察会」の深いきずなと歴史~

目次

    吉賀町の面積の約92%を占める深い緑。この町に世界でも日本と韓国にしか自生しない貴重な針葉樹「コウヤマキ」の、中国地方最大級の群生林があることをご存じでしょうか。去る8月の最終日曜日、40年以上にわたり地域の方々が守り続けてきた「コウヤマキ自生林観察会」が開催されました。私もこの町の豊かな自然に魅せられて移住した一人。期待に胸を膨らませ、尾根を目指す山歩きに参加してきました。

    kouyamaki4

    悠久の時を刻む「スカイツリー」の原風景へ

    今回ガイドを務めてくださったのは、島根県の自然環境保全の第一人者である佐藤仁志先生をはじめ大変経験豊富な先生方でした。 「コウヤマキは水に強く、中尊寺金色堂の屋根瓦にも使われているんですよ」 お話を伺いながら、往復2時間の道のりをゆっくりと歩みを進めます。

    驚いたのは、参加者の顔ぶれの多彩さです。広島や山口など県外からのリピーターも多く、最高齢は杖をついて登りきった84歳の男性。一方で、「地域みらい留学」で大分から移住して以来、地元・吉賀高校の生徒さんも積極的に参加しています。世代も地域も超えて愛される、この観察会の歴史の重みを感じました。
    84sai1

    五感で味わう、コウヤマキの森

    山道を登りきると、そこはコウヤマキだけが立ち並ぶ特別なエリア。 佐藤先生に促され、樹皮に抱きついてみました。その感触は驚くほどふんわりと柔らかく、包み込まれるような心地よさです。

    「さあ、寝っ転がって空を見上げてみましょう」


    nekorobi

    コウヤマキが空へと真っすぐ伸びています。東京スカイツリーの監修をされた、故澄川喜一さんは吉賀のご出身であり、「スカイツリーはふるさと六日市のコウヤマキのイメージである」と言われたとのこと。都会のシンボルのルーツが、この町に、自分の目の前にありました。

    250831115234585

    受け継がれる「吉賀の宝」――佐藤先生と地域の情熱

    この美しい森が今も残っているのは、決して偶然ではありません。 講師の佐藤先生が島根県の職員だった20代の頃、「中国地方最大のコウヤマキ自生林を後世に遺したい」という強い想いで、地権者の方々との対話を重ね、奔走されました。その尽力が実を結び、昭和52年11月、48.17haという広大なエリアが「自然環境保全地域」に指定されたのです。
    250831123320333

    「この宝を子や孫の世代に受け継いでいってほしい」 観察会の最中、先生からはそんな熱い思いが語られました。自然環境保全地域になると森林の伐採や土石の採取などの行為に制限がかかりやりにくくなることから、コウヤマキの群生林は地元有飯や九郎原地区の方々によって守られました。「コウヤマキの自生林を守り抜く」という皆さんの気概と心意気が、今もこの森に息づいています。

    心とお腹を満たす、里山のおもてなし――下山後のお楽しみは、コウヤマキギャラリー

    250831125943471

    待っていたのは、地元の方々が用意してくださった名物の山岳おむすびと温かい豚汁です。吉賀町産のお米と旬の食材がふんだんに使われたおむすびと豚汁は、山歩きを終えた空っぽのお腹にじんわりと染み渡る、格別の美味しさでした。
    tannpopo

    最後に皆で、吉賀の山々に響き渡る声で「ふるさと」を合唱。 また、地元の吉中力さんからは、この地の名前の由来も教えていただきました。その昔、弘法大師がこの地を訪れた際、優しい住民がおむすびを振る舞ったことから「飯(めし)が有る」=「有飯(ありい)」という地名になったとのこと。吉賀町に息づく「おもてなしの心」は、弘法大師の時代から今も大切に受け継がれているのですね。

    森が繋ぐご縁

    今回の観察会では、嬉しい再会もありました。以前、私が「島根県森林インストラクター養成講座」で共に学んだ仲間たちです。 吉賀町の茶文化を探求し続けている方、森林ガイドの経験がある方、そして遠く出雲から駆けつけた同期生……。それぞれに活動する私たちがこうして再び集えるのは、吉賀の森に、人を惹きつけ、人と人を結びつける不思議な力があるからだと感じます。

    島根県、そして吉賀町の宝である「コウヤマキ自生林」。 来年もまた、この清々しい空気と、森林を愛する温かい方々に会いに、この場所へ帰ってきたいと思います。


    (文:野見山 朋子/高津川てらす)

    250831120623382 (1)

     【イベント情報】「コウヤマキ自生林観察会」毎年8月の最終日曜日に、春には「野草観察会」が開催されます。 豊かな自然と、人々の熱い想いに触れる一日を、あなたも体験してみませんか?


    吉賀町では季節のイベントや暮らしの情報をLINEで発信中です。是非ご登録ください!



    LINE_Brand_icon1

     

     

     

     

     

     


    linehp

     

     

     

     

     

     

     

    こちらは2025年度のコウヤマキギャラリーのイベントチラシです。

    令和7年春の山野草観察会

    コウヤマキ観察会2025

    記事一覧へもどる